ナンパの方法

ヤツと同じで、そいつはツボだけあちこちついて、またそこだけ見せているのです」 男は、目の前にいると、そこだけを見ていると思い込みがちだ。 でも、女性はそうではない。 女性は、そばにいる時だけではなく、離れている時も見ている。 「みんなそれを先輩たちの攻防を見ながら覚えていくのです。

いいところ、悪いところが出ますから、その人の得意な部分だけをマネるのです。それはしゃべり方だ ったり、話の内容だったりする。パクリなので、『しゃべり方が零士っぽい』と言わ れたりしますが、そこから入ったヤツは、見せ方を覚えます」 徒弟制度で、マニュアル化できない部分は、師匠と弟子で吸収していかないといけない。

マニュアルにできないところは、徒弟制度が一番効率よく伝わる

「これじゃあねえ」とユ一一口われたら、 サービスも男も失格。 ? 零士さんは、甘党だ。 バレンタインに、デパートのチョコ売り場に行った。 女のコたちが、零士さんに気づかないくらい興奮していた。 零士さんは、売れ筋のチョコレートは何か観察した。

高級品が売り切れ、売れ残っているのは、安いチョコだった。 「安いから来るというものでもないのですね。 るというわけでもないのです。 いい男ゃいいコがいるからお店に来 ヘンなヤツ、\ステリアスな部分がないといけない。

この世界はミステリアスだと思うのです」 そのミステリアスさをブラウン管に表現するのが難しい。 テレビは、面白さを伝えるメディアなのだ。 「何か怪しいのだけど、面白いというのが僕だったのです。 シャム猫を抱いて、ワイングラスを持って出てきて、怪しいのに面白い」 怪しさとミステリアスは、違うのだ。

「怪しいだけで、ミステリアスな部分は画面では表現できなかった。女性は、 テリアスを求める。高いモノを求めるのは、すごくクェスチョンな部分で、それで わかってもらいたいというのがあったからではないか。気休めだけの義理チヨコで、 いきなりガウンを着て、 「ス 安いのなんて逆にとんでもないと思っている」 チヨコ売り場で、女のコが、安いチョコを見て言った。

「これじゃあねえ」 この言葉が、零士さんの頭に残った。 「それは今後の女性に対するサービス業のとんでもないヒントを含んでいるのでは ないかと思うのです」 「これじゃあねえ」と言われるサービスをしてはいけない。